L'ULTIMO BACIO Anno 11(ルルティモバーチョ アンノ11)ライブレポート

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【L'ULTIMO BACIO Anno 11】ライブレポート

12/20(火) Snowy Ballads

文:平山雄一 写真:堀清英

J-POPシーンの中で異彩を放つアーティストのジョイントだ。持田香織はゆったりしたペースの中に、キラキラ光るセンスを散りばめる。一方で大橋トリオは音に対する独特の美意識を絶対に曲げずに、オリジナルなポップを生み出す天才肌。


まずステージにはオープニング・アクトの前川紘毅が上がった。前川はアコースティック・ギターを持ち、サポートはキーボードひとり。バリエーションに富んだラブソングを4曲歌って拍手を浴びた。
前川紘毅 前川紘毅 前川紘毅 前川紘毅 前川紘毅 前川紘毅


続いては持田香織のステージだ。いつもバンマスを務めるキーボードのDr.KYONと、マルチ・プレイヤーの渡辺等の二人がセットした後、ざっくりしたワンピースに身を包んだ持田が現われる。まずは絶妙に絡み合うDr.KYONのピアノと渡辺のチェロをバックに「green」。続く「Night Cats」はジャージーなビートの曲。ゆらゆら体を揺らしながら歌う持田から、リラックスした空気が漂い出す。
Dr.KYONはフェンダー・ローズやピアニカを、渡辺はウッドベースやマンドリンを次々に持ち替えて、持田のボーカルを包み込む。会場はそんなカラフルなサウンドに、じっと聴き入っている。

「今日はみなさん、師走のお忙しい中、いらしてくれてありがとうございます。女性のお客さんが多いんですか?」と持田は観客に質問する。それに対して会場から返事が返ってくるのだが、持田はあくまでマイペース。会場から「かわいいー」と声がかかれば「ホントですかぁ?」、「癒してー!」と言われれば「頑張りますっ」と答えて、笑いと拍手が起こる。そして「今日はこういうテンションで行かせてもらいますので、よろしく」とまとめたのが面白かった。

ラスト2曲が素晴らしかった。渡辺がグロッケン(鉄琴)を弾く「Every Day Love」、Dr.KYONが優しいピアノを奏でる「Pocket」で、持田はユニークな“歌姫”ぶりを発揮。彼女のエンターテイナーとしての資質は、まだまだ奥が深そうだ。
持田香織 持田香織 持田香織 持田香織 持田香織 持田香織


すっかりリラックスした会場に、大橋トリオが満を持しての登場だ。
まずはバック・メンバーの3人が、クリスマス・ベルを鳴らしてステージに入ってくる。大橋も現われてギターを持ち、「クラムチャウダー」のイントロを弾き始めた。
ドラムス、ウッドベース、マンドリンというアコースティックな編成。アンプラグドと称されることの多い編成だが、大橋の場合、少し違っている。エレクトリックな曲を生楽器で演奏し直しているのではなく、もともとそういうアレンジで成り立っている楽曲なのだ。揺らぎの多い生楽器の優しい音色と、ニュアンス豊かなグルーブが大橋の音楽の中心にある。それを知ってここにやって来たオーディエンスは、そんな“大橋サウンド”をゆったりと楽しんでいる。

中盤、「“ルルティモ・バーチョ”ということで、出演者や観客のみなさんはいつもよりシットリとやっているんだろうなと思ってましたけど、そうでもないみたいですね。僕もそろそろ元気に行こうかな」と言って始まった「BING BANG」から、ライブはぐっと熱を帯びていく。シットリ聴く大橋の歌ももちろんいいのだが、快適なグルーブを全面に押し出したポップな大橋のサウンドワールドも素敵だ。
次の「WINTERWORLD」でライブはピークを迎える。

最後は2枚同時に出したニューアルバムの内、『R』からの「アネモネが咲いた」でロマンティックに締めくくった。

アンコールは大橋と持田が二人だけで登場して、「静かな夜」を演奏。クリスマスにふさわしいスペシャル・セッションに、大きな拍手が湧いたのだった。
大橋トリオ 大橋トリオ 大橋トリオ 大橋トリオ 大橋トリオ 大橋トリオ 大橋トリオ(with 持田香織)

SET LIST

前川紘毅
  1. 君のいない左側
  2. ヒミツキチ
  3. 守るべき人
  4. 言えない約束
持田香織
  1. green
  2. Night Cats
  3. 雨のワルツ
  4. タオ
  5. Don't Wait Too Long
  6. Drop
  7. Every Day Love(日々の愛)
  8. Pocket
大橋トリオ
  1. クラムチャウダー
  2. THE MUSIC AROUND ME
  3. KISS OF LIFE
  4. THE CHIRISTMAS SONG
  5. この雨みたいに泣いてみたかったけど
  6. BING BANG
  7. WINTERLAND
  8. アネモネが鳴いた
アンコール
静かな夜(with持田香織)


BGM

  • A CHARLIE BROWN CHRISTMAS (VINCE GUARALDI TRIO)
  • something else by the KINKS (KINKS)
  • After the Gold Rush (Neil Young)

12/21(水) Groovy Winter

文:平山雄一 写真:堀清英

オープニングアクトのDadaDは女性ボーカルのKateと、サウンド・メイキングのShigeの二人からなるポップ・ユニット。この日はサポート・メンバーが加わって、3人のステージになった。エレキギターとアコースティックギターによるシンプルなバックに、Kateの伸びやかな声がよく似合う。
ニューアルバム『Touch Touch Touch』からの曲「Sing with me」にはそんなDadaDの魅力が溢れ、観客の体をおおらかに揺らしたのだった。
DadaD DadaD DadaD DadaD DadaD DadaD


BONNIE PINKは昨年リリースしたセルフカバー・アルバム『Back Room -BONNIE PINK Remakes-』で録音を共にしたキーボードとギターを引き連れて登場。自身もアコギを抱えて「The Christmas Song」を歌う。彼女のひと声で会場の雰囲気ががらりとゴージャスに変わる。

「メリークリスマス!こんばんは、BONNIE PINKです。恋人たちが集いあって、いい雰囲気なんでしょ。私も衣装に赤を取り入れて来ました」。

続いては「Heaven's Kitchen」。ピアノが打ち放すコードに乗って、ソウルフルな歌声がホールを満たす。

「静かだね」とBONNIE PINK。確かに会場は静かなのだが、それは楽しくないからではない。彼女の歌のあまりの迫力と美しさに、オーディエンスが圧倒されているのだ。
「手拍子とか、する?」とタンバリンを鳴らしながら歌い始めると、フロアはすぐに反応して盛り上がる。

「クリスマスは、それだけで楽しい。相手がいなくても恋してる気分になれたりする。次は、だいぶ昔の曲だけど、クリスマスっぽいから練習してきました」と「That's what it's all about」。アイリッシュなムードのアレンジで、クリスマス気分を高めてくれた。

最初からハイクオリティな音楽で圧倒したBONNIE PINKの本領が爆発したのは、終盤の「Anything For You」だった。カントリー・タッチのサウンドに包まれて、ただでさえ張りのある彼女の声がどんどん艶を帯びていく。“美しい声を聴く快感”を堪能したライブだった。
BONNIE PINK BONNIE PINK BONNIE PINK BONNIE PINK BONNIE PINK BONNIE PINK BONNIE PINK


3日間の最後を飾ってくれたのは、オリジナル・ラブだった。
バックメンバーは、いつものベース鹿島達也とギター小暮晋也。これに田島貴男が加わると、“最強のアコースティック・セット”と言いたくなるサウンドが流れ出す。
田島は最近、追求しているというブルースハープ(ハーモニカ)をいきなり吹き始める。「Hum A tune」はカントリーの味わいもあり、演奏する3人のいでたちも含めて、ガンマン映画『ヤングガンズ』の一場面を観ているようだ。

続く「フリーライド」で3人のプレイは、トップギアに入る。3人のアンサンブルが生み出すリズムは、まさに“ドライブしてる”という言葉がピッタリのダイナミックなもの。オーディエンスの反応もよく、一気に盛り上がる。

「昨日の夜はすごく寒かったんですけど、今日は熱い夜になりましたね」。その発熱源は、田島本人だ。天才と簡単に言ってしまうと申し訳ないが、演奏してその場に現われる音楽をオーディエンスと分け合うことに関して、田島貴男の右に出る者はいない。夏の池上本門寺でもそれを目撃したが、今年の恵比寿ガーデンホールでもぐいぐい観客を巻き込んでいく。

ボトルネック奏法で名曲「White Christmas」を弾き、アンプを通したブルースハープでフロアを踊らせる。田島自身も本当に楽しそうに、しゃべりまくる。こんなにたくさん話す田島を見るのは、初めてだ。

ラストは田島ならではのポップナンバー「夜をぶっとばせ」。観客のハンドクラップに合わせてアカペラでえんえん歌う。このパフォーマンスが、今年の“ルルティモ・バーチョ”の大成功を象徴していた。
オリジナル・ラブ(アコースティックセット) オリジナル・ラブ(アコースティックセット) オリジナル・ラブ(アコースティックセット) オリジナル・ラブ(アコースティックセット) オリジナル・ラブ(アコースティックセット) オリジナル・ラブ(アコースティックセット)


例年以上にアーティストとオーディエンスが、お互いに音楽を通じて楽しみ合って、素晴らしい3日間になった。そのせいか、佐野元春や田島貴男を初め、アーティストたちはみんなよくしゃべる。それはイベントで最も大切なコミュニケーションが、うまくいったということの証拠でもあった。また来年をお楽しみに。

SET LIST

DadaD
  1. Wind Letter
  2. Go Aroun
  3. Sing with me
  4. エスケープ
BONNIE PINK
  1. The Christmas Song
  2. Heaven's Kitchen
  3. Gimme A Beat
  4. That's what it's all about
  5. Joy
  6. Won't Let You Go
  7. Tonight, the Night
  8. Anything For You
  9. CHAIN
オリジナル・ラブ(アコースティックセット)
  1. Hum A Tune
  2. フリーライド
  3. 接吻
  4. White Christmas~bird
  5. 哀しいノイズ
  6. 髑髏
  7. 青空のむこうから
  8. カミングスーン
アンコール
夜をぶっとばせ


BGM

  • A CHARLIE BROWN CHRISTMAS (VINCE GUARALDI TRIO)
  • something else by the KINKS (KINKS)
  • After the Gold Rush (Neil Young)
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