Live Report

9月2日(金) THE SOUL NIGHT

9月2日(金)
THE SOUL NIGHT

出演:ORIGINAL LOVE(アコースティックセット)/トータス松本
Opening Act:蠣崎未来

 オープニングアクトの蠣崎未来は、線の太いアコギと、同じく線の太いボーカルが魅力。1曲目の「君の声が聞きたい」からアーシーな歌いぶりで観客の度肝を抜く。マイペースなライブの運びが音楽性と相まって、独特の雰囲気を醸し出す。この日のタイトル“THE SOUL NIGHT”に敬意を表してカバーした、ソウル界の至宝サム・クックの名曲「A Change is Gonna Come」で、大きな拍手を浴びていた。

    《SET LIST》
  1. 君の声が聞きたい
  2. 君といると
  3. A Change is Gonna Come

 トータス松本はスーツ姿で登場。「だだっぴろいステージで、歌い出すキッカケがつかめないなあ」と言いながら、いきなり歌い出した「バンザイ~好きでよかった~」でオーディエンスの耳をわしづかみにする。中盤にORIGINAL LOVEの「接吻」を歌い出すと、会場から歓声が上がる。が、ワンコーラスだけで寸止めするあたりがライブ巧者のトータスらしいサービスだ。「サムライソウル」では観客にしみじみ語りかける。「僕の人生の今は何章目ぐらいだろう」も、ベテランの味わい。ラストは「関西だから!」と言って、「いい女」をしつこくしつこく(笑)歌って、ぐいぐい会場を引っ張っていく。大人の明るい弾き語りの良さを満喫したステージだった。

    《SET LIST》
  1. バンザイ〜好きでよかった〜
  2. ブランコ
  3. 明星
  4. 接吻
  5. 愛すれば
  6. サムライソウル
  7. 僕の人生の今は何章目ぐらいだろう
  8. いい女

 25周年を迎えた今年リリースしたORIGINAL LOVEのニューシングル「ゴールデンタイム」でライブをスタートしたところに、田島貴男の気合いを感じる。ORIGINAL LOVEの歴史と、未来に向かう意志を刻んだ歌詞が夜空に響く。そこから初期の代表曲「BODY FRESHER」、「BLUE TALK」に切り込んで行くシャープな展開。早くも観客の身体が揺れ始める。バンジョーやマンドリンなど、生楽器の楽しさあふれる編成で歌われた「夢を見る人」は、オーディエンスをハッピーな境地に導いた。
 とにかく田島貴男の必殺のリズムプレイが冴えまくる。歌の始まりにパーカッシヴなスキャットを決めたり、ギターのボディやマイクスタンドを叩いたり、得意のシャウトの「ヘイ!!」も絶好調。
 本編最後の「JUMPIN'JACK JIVE」でトータス松本を呼び込むと、観客は総立ち。「ガッタ!ガッタ!」とソウルフルにトータスが走り回れば、田島はメロディをフェイクして応じる。グルーヴィーな“ジャイヴ勝負”に会場は大いに沸いたのだった。

 そしてアンコールは、まずトータスと田島が2人だけでRCサクセションの「トランジスタラジオ」を弾き語る。トータスが剛速球の声で歌えば、田島は揺れるクセ球のツーシームみたいな声で対抗。これがいいハーモニーを醸し出す。めっちゃレアでディープな共演となった。1966年生まれのミュージシャン大集合イベント“ROOTS 66”で親交を深めた田島貴男とトータス松本。2人のガチのセッションが初日のハイライトになった。
 ラストナンバーの「フリーライド」で田島は、アブラの乗り切ったボーカリゼーションを聴かせる。堂々たるグルーヴで“THE SOUL NIGHT”を締めくくったのだった。

    《SET LIST》
  1. ゴールデンタイム
  2. BODY FRESHER
  3. BLUE TALK
  4. 夢を見る人
  5. 接吻
  6. 朝日のあたる道
  7. JUMPIN' JACK JIVE with トータス松本
  8. ENCORE
  9. トランジスタラジオ
  10. フリーライド

文・平山雄一
撮影・TEAM LIGHTSOME

9月3日(土) "ROCK" in all ages

9月3日(土)
"ROCK" in all ages

出演:Char/中納良恵(EGO-WRAPPIN')/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND/ましまろ/GLIM SPANKY(アコースティック2人編成)/土岐麻子
Opening Act:1983/annie the clumsy

 オープニングアクトのannie the clumsyは、青空にピッタリのウクレレの音色で「Let's Dance Whoo」などの英語詞のポップチューンを歌う。ワールドワイドな才能の一片を披露して、この日、最初の拍手を浴びていた。

    《SET LIST》
  1. Look up
  2. First crush never dies
  3. Purshit of Happiness kid cudi
  4. Let's Dance
  5. Folding Chair

 続く“1983”は4リズムにフルート&トランペットという編成で、ハートウォームな正統派ポップスを披露する。歌詞とメロディが優しく響く「文化の日」など、バンドは今、自分たちの音楽性を成長させている真っ最中。生楽器のアンサンブルが魅力のアーティストが数多く出演する“Slow LIVE”に、非常に似合うグループとして今後に期待が持てる初参加だった。

    《SET LIST》
  1. ジョンルウ
  2. サマーミラージュ
  3. feelin
  4. 文化の日

 EGO-WRAPPIN’のボーカル中納良恵は、3年連続の出演。五重塔に向かって歌うシチュエーションが大好きというだけあって、登場するとグランドピアノの前にごく自然に座り、すんなりと弾き語り始める。インスピレーションに富んだメロディが、自然に囲まれて音楽聴く歓びを倍加させてくれる。「beautiful island」や、代表曲「ソレイユ」など、声の美しさで会場を魅了した。

    《SET LIST》
  1. Talk to you
  2. 幸福の会話
  3. 写真の中のあなた
  4. beautiful island
  5. 濡れない雨
  6. ソレイユ
  7. サニーサイドメロディー

 土岐麻子はあでやかな浴衣姿で登場。ピアノの渡辺シュンスケ(from Schroeder-Headz)とギターの弓木英梨乃(from KIRINJI)をバックに、情熱的な「熱砂の女」など様々な女性像を歌い上げる。特に熊本民謡「おてもやん」はユーモラスな歌詞がしっかりオーディエンスに伝わって、会場からハンドクラップが起こった。最後は都会に生きる女性らしく、「Gift~あなたはマドンナ~」でキュートに締めくくった。

    《SET LIST》
  1. 熱砂の女
  2. BOY フロム世田谷
  3. Mister Sandman
  4. おてもやん(熊本民謡)
  5. Beautiful Day
  6. Gift ~あなたはマドンナ~

 90年代から活躍するフォークロック・バンド、ヒックスヴィルの中森泰弘&真城めぐみと、ザ・クロマニヨンズの真島昌利が結成した“ましまろ”は、意外性のある組み合わせだが、実は旧知の仲。フォーキーな楽曲の中に潜ませた季節感が、本門寺によく似合う。中森と真島の鳴らすギター・サウンドに、真城のパーカッションがよいアクセントを加えて、会場をリラックスさせる。「公園」など、芯の通ったボーカル・ハーモニーが、永遠の青春を感じさせてくれたのだった。

    《SET LIST》
  1. ガランとしてる
  2. はだしになったら
  3. 公園
  4. 海と肉まん
  5. しおからとんぼ
  6. 成りゆきまかせ
  7. 遠雷

撮影・柴田恵理

 GLIM SPANKYは音楽シーンで注目を集める初参加ユニット。涼しげな浴衣で現われた松尾レミは、アコースティック・ギターを抱えて、突き抜けたボーカルでオーディエンスに迫る。対して亀本寛貴のエレキギターは稲妻のようにシャープだ。いつものバンド・サウンドとは異なるものの、伝えたいことがはっきりしているので、ステージングに迷いはない。幻想的な「闇に目を凝らせば」や、アーティストとしての核を描く「大人になったら」など、主張の強い2人がぶつかり合う本領発揮のアコースティック・ライブに、ぜひまた出演して欲しいと強く思った。

    《SET LIST》
  1. ダミーロックとブルース
  2. 怒りをくれよ
  3. 闇に目を凝らせば
  4. 夜明けのフォーク
  5. grand port
  6. 大人になったら

 いかつい男6人編成のOAUの紡ぎ出す音は、非常に繊細で、ダイナミック。今回は、“繊細さ”に焦点を当てたセットリストで挑む。新涼の風にフィドルの音が心地よい。ビスコのCM曲として発表された「夢の跡」を演奏する前にTOSHI-LOWがひと言、「2011年をまたいだら、始まりの歌になりました」。これは震災以前に書かれた曲で、♪世界にただ微笑んで何処へ行く 世界にただ束の間の夢の跡♪と歌う。思えばOAUが初めて本門寺に登場したのは2011年の夏だった。だから余計に「夢の跡」の哀愁のあるサウンドは、激しく優しくオーディエンスに沁み込んでいった。

    《SET LIST》
  1. otherwhere
  2. all the way
  3. 夢の跡
  4. Ankaa
  5. UIKIGUSA
  6. 朝焼けの歌
  7. QUESTION

 今年、ソロデビュー40周年を迎えたCharは、歌にギターに王者の実力を見せつける。ナイーヴなギター・タッチの「Nameless Land」でスタート。まずは変幻自在のピッキングを聴かせる。「今日の気分はこの曲」とE・クラプトンのカバー「Wonderful Tonight」では、深みのあるボーカルが心地よい。続くジェフ・ベックの「Jeff's Boogie」は、Charと故・石田長生のユニット“BAHO”でよく演奏していたナンバーで、Slow LIVEで何度も聴いたことがある。そんなことを思い出していたら、パラリと降った雨のお陰で快適なコンディションの中、気が付けばオーディエンスは総立ち。ラストの「Smoky」まで本門寺の常連ファイナリストとして、ぶっちぎりに盛り上げたのだった。

    《SET LIST》
  1. Nameless Land
  2. Back Then And Now
  3. Wonderful Tonight
  4. Jeff's Boogie
  5. Tokyo Night
  6. Uncle Jack
  7. Happiness
  8. ENCORE1. Smoky

文・平山雄一
撮影・TEAM LIGHTSOME / (ましまろ)柴田恵理

9月4日(日) Song lines

9月4日(日)
Song lines

出演:ハナレグミ/奇妙礼太郎/堀込泰行/野宮真貴/チャラン・ポ・ランタン/NakamuraEmi
Opening Act:阪本奨悟/優河

 オープニングアクトの優河は、ニューカマーらしからぬ確かなギタープレイと、何と言っても説得力のある澄んだ声が聴きモノ。抑揚を見事にコントロールしながら、言葉を一つ一つ丁寧に歌う「愛を」や「となりで」で、優河はオーディエンスにしっかりと印象を残した。

    《SET LIST》
  1. 愛を
  2. Jimmy
  3. となりで
  4. ヨーコ

 一方、阪本奨悟は、男性シンガーソングライターらしい真っ直ぐなメッセージを投げかける。思い切りのいいギターのコード・ストロークに乗せて青春の不安や焦燥をぶつける「Fly」は、阪本の歌への初期衝動を多くの観客に届けることに成功していた。

    《SET LIST》
  1. You Need Me, I don't Need You
  2. I Never Worry ~虹の向こう~
  3. ながれ
  4. Fly

 NakamuraEmiは今年の夏フェスで話題を集めた超個性派。HIPHOPと歌を自由に行き来するユニークなスタイルを持っている。ギターのボディを叩いてリズムのループを作り、そこにぐいぐい言葉を押し込んで主張する。歌うかと思えばラップに切り替わるスリリングな展開で、会場を巻き込んでいく。最後に歌った「YAMABIKO」は、小柄な体から繰り出される言葉と歌が想像以上にパワフルで、大きな拍手を浴びたのだった。

    《SET LIST》
  1. Rebirth
  2. 使命
  3. スケボーマン
  4. めしあがれ
  5. メジャーデビュー
  6. YAMABIKO

 チャラン・ポ・ランタンは今年、絶好調。もも(唄/平成生まれの妹)と小春(アコーディオン/昭和生まれの姉)の姉妹ユニットのライブはアイデアにあふれていて、少しも目が離せない。この日はドラムの“ふーちん”が加わっての3人編成。間もなく(9月14日)リリースになるニューアルバム『借りもの協奏』からの曲を中心にしたセットリストで臨む。このアルバムはザ・ピーナツの「恋のバカンス」など、2人組が歌うナンバーをカバーするという内容。アコーディオンで演奏されるPUFFYの「アジアの純真」が大受けし、「Oppai Boogie」で大暴れして、ブレイクスルー間近の勢いを見せつけた。

    《SET LIST》
    S.C. 荒野の七人
  1. 時計仕掛けの人生
  2. アジアの純真
  3. 恋のバカンス
  4. サウダージ
  5. さよなら遊園地
  6. Oppai Boogie
  7. 愛の讃歌
  8. ムスタファ

 キリンジからソロに転じた堀込泰行は、音楽の細部にまでこだわるアレンジと演奏が持ち味。この日はそこにライブならではのエナジーが加わって、独特のポップワールドを出現させる。「ブランニューソング」に続く「鋼鉄の馬」では、都会生活の中から生まれるロマンティシズムが見事に描かれていて、堀込の唯一無二のポップ・クリエイターとしての本領が堪能できた。

    《SET LIST》
  1. Wah Wah Wah
  2. ブランニュー・ソング
  3. 鋼鉄の馬
  4. ビリー
  5. Waltz
  6. 季節の最後に

 永遠のファッション・アイコン、野宮真貴はいわずと知れた「ピチカート・ファイヴ」の3代目ボーカリスト。華やかな衣装で登場して「東京は夜の七時」を歌う。実際には七時少し前だが、この歌で盛り上がらない訳はない。野宮のエンターテイナー・シップが、Slow LIVEにゴージャスなアクセントを付けてくれた瞬間だった。さらにはフランス映画から生まれた名曲「男と女」を、日本語でしっとりと歌う。華麗な歌姫のステージは、たそがれ時にひときわ輝いていた。

    《SET LIST》
  1. 東京は夜の七時
  2. フレンズ アゲイン
  3. 思い出のロックンローラー
  4. 男と女
  5. 渋谷で5時
  6. ウィークエンド
  7. 世界は愛を求めてる

 さて、破天荒なパフォーマンスでオーディエンスをトリコにする奇妙礼太郎が、本門寺に初登場。ギター1本の弾き語りということもあって、いつにも増して自由奔放なステージングが炸裂。1曲目の「天王寺ガール」では、その時その時でメロディの表情を変える妙技でオーディエンスを引き込んでいく。突然、始まった童謡コーナーに場内は大騒ぎになる。「かえるのうた」では大爆笑が起こる。それでも、メロディのはしばしにほとばしるソウル・スピリットは健在で、天才ぶりを見せつけた。

    《SET LIST》
  1. 天王寺ガール
  2. (即興曲)
  3. firefly
  4. DANCE MUSIC FOR ME!!
  5. 酔っぱらっているいつも
  6. (即興曲)
  7. 童謡コーナー
  8. (即興曲)
  9. Smile
  10. 45回転
  11. いい湯だな ビバノン・ロック

 究極のボーカリスト“ハナレグミ”も、これまた待望の初参戦。「もっとこじんまりとした会場だと思ってました。歌わせてもらっていいですか?」と永積が言って、「大安」からスタート。続いて「ハンキーパンキー」、カーティス・メイフィールドの「PEOPLE GET READY」と、とにかく名曲揃いのセットリストが凄い。と思ったら、「YO-KINGが作ってくれた」と言って歌い始めた「祝福」は途中でギターが怪しくなって「やめま~す(笑)」と中断。「弾き語りって、魔物が棲んでるね」と照れ笑いする。その後も「サヨナラCOLOR」、「家族の風景」と名曲の連打は続き、アンコールはダンサブルな「peace tree」でオーディエンスの身体を揺らして終わった。本門寺にハナレグミは、本当によく似合う。またこのステージで見たいと思った3日間のエンディングだった。

    《SET LIST》
  1. 大安
  2. ハンキーパンキー
  3. PEOPLE GET READY
  4. Don't Think Twice,It's All Right
  5. 男の子と女の子
  6. 音タイム
  7. サヨナラCOLOR
  8. 家族の風景
  9. ENCORE1. peace tree

文・平山雄一
撮影・TEAM LIGHTSOME